WAVE&SOUND
  
サウンドデバイスの種類と特性

サウンドデバイスにも実に様々なものがあります。
PCIバスを利用する音源、マザーボードビルドインタイプの音源、Cバススロットに挿すタイプの音源。
これ以外にもUSBに接続するタイプの音源や、中にはSCSI接続といった珍しいものもあります。
最も快適な環境を作るにあたり、どういったデバイスを使用するのが理想と呼べるのでしょうか。様々な角度から各デバイスを煮詰めてみたいと思います。

WAVE音源

WaveはWindowsのPCM形式、拡張子がwavのファイルを指し、これを扱う事のできる音源がWave音源と呼ばれています。
Wave音源にも様々な拡張方法があります。
PCMとは音の量子をそのままデジタルデータで記録していく方式の為、非常に大きなデータ量となり、再生、録音時にも高いCPUパワーを必要とします。
PCMには大別して2種類あり、ADPCMとPCM方式があります。
ADPCM(アダプティブディファレンシャルパルスコードモジュレーション)方式というのは、直訳して差分適合型信号符号変調、つまり前置周波数との差分のみを記録していき、全てのデータ(量子)を記録しない為、データ量の軽減を実現した方式です。
その為クオリティを落とさずに実時間で記録、展開できるという強みがあります。
次にPCM(パルスコードモジュレーション)方式です。直訳して信号符号変調、名の通り量子全てを記録し、再生する方式です。
録音容量が多く必要ですが、加工しやすい等の特徴があります。
ADPCMは主に組み込み型ハード(自動販売機や自動券売機等)に利用され、Windowsでは、後者のPCM方式が主流として使用されています。

PCIバス占有タイプ
Wave音源は非常に大きなデータを扱う音源の為、高い転送速度とダイレクトにデータを送り込めるデバイスが最も理想です。
そういった意味ではPCIスロットに挿すタイプのWave音源は非常に理想なのですが、PC-98(9821)シリーズのPCIモデルには通常利用できるPCIスロットが最大2スロットしかありません。
つまり、HDDインターフェイスとビデオカードを挿したらサウンドに回せる余裕が無いのです。
どちらかをあきらめてWave音源を装着するより、Waveは他の方法を利用したほうが得策と思われます。

Cバス占有タイプ
Cバスはビデオカードの項で説明している通り、非常に転送速度の遅い拡張バスです。
転送速度の遅さを補填するためにバッファ用のFIFOメモリを付加したPC-9801-86(86ボード)といったボードもありますが、あまり理想と呼べるものではありません。
ただ86ボードはPC-98標準のFM音源ボードに搭載されていた、ヤマハのYM2203の上位互換であるYM2608チップを搭載しているため、DOS上からもその機能を活かせるといった強み(付加価値)があります。

USB接続タイプ
最もお勧めできないタイプです。
意外!?と言われる人も多いと思われます。
USBはCバスよりも高い転送速度を持つ為、一見Cバス接続の音源より高速な動作をすると思われがちですが、実は様々なネックがあります。
USBはRS232C等と同じシリアル方式のポートです。
拡張バスではありません。
つまりデータ転送ポートなのです。
ユニバーサルシリアルバスという限り、直接、連続した量子を書き込んでやる事ができません。
このため、物によってはムービーやDVD再生の最中にポツポツとノイズが入ってしまったり、音が途切れ途切れになってしまうものがあります。
多くのUSB接続のWaveデバイスへは、まとまった単位の量子データが順次送られ、これを一旦バッファに溜め込んでからタイミングを合わせて再生しようとします。
このため、処理が若干遅れ、データ単位の切り替え時にもノイズが入ります。
最も、転送速度が速いため、処理の遅れは気にならない程度ではありますが、ムービー再生やメディアプレーヤ等を多用する機会がある人にはあまりお勧めできないデバイスです。
ただ、WindowsにはPCMチャンネルという概念があります。
1番目のチャンネルがアクティブ(PCM再生)時に音声データ等の再生が指示された場合、通常PCMを1チャンネルしか持たない音源の場合、音は再生されません。
しかし2チャンネル目が存在する場合、Windowsは2チャンネル目に指定されたWaveデバイスを使用してその音を再生しようとします。
ムービーやmp3再生中に効果音が再生されるかされないか等の違いだけなので、大きな違いではありませんが、2チャンネル目に再生しようとされる音は多くの場合、効果音等の小さいデータであることが多いので、これにUSB接続のWaveデバイスを指定して使用し、メインとなる1チャンネル目の音源には別のデバイスを使用するという手もあります。

マザーボードビルドイン音源
内蔵型86互換音源やXシリーズ以降に搭載されているMATE-X PCMと呼ばれる音源がそれです。
今のところPC-98で使用するには、この標準音源が最も高速で、最もスムーズな再生が行えるデバイスではないかと思われます。
マザービルドインの場合、発生する負荷も最小限に抑えられるので、意外とUSB音源を使用していてムービー再生時の音が途切れる場合など、内臓音源に戻してやるだけで簡単に解決したりする事が多いようです。理想としてはMATE-X PCMをメイン(1CH)に指定し、USB接続の音源を2チャンネル目に設定して使用するという形でしょうか。


 MIDI音源

MIDI音源は、音楽等の再生を行う規格です。
PCMが量子を再生するのに大してMIDIは決められた楽譜データに基づき、内臓シンセサイザ等によって演奏するものを挿します。
元々MIDI(ミュージカルインスツルメントデジタルインターフェイス)という名の通り、電子楽器をコンピュータ上から制御する目的で考案された規格です。
「音楽を再生するソフトやハードをMIDIと呼ぶ」と勘違いしている人が非常に多いのですが、MIDIとは音源制御の規格であって、音源の規格ではありません。
つまり、扱う音源によって、再生される音楽の雰囲気はまるで変わってきます。MIDIには次のようなものがあります。

FM音源でのエミュレーションMIDI
FM音源(フレケンシーモジュレーション)とは、直訳すると周波数変調音源。自然界の音は波形(スペクトラム)にして表すことができるという理論の元、生み出された音源です。
大きく分けてPOL音源とPON音源に大別できます。
FM音源の場合、基礎となるサイン波形の音を複数のオペレータ(変調回路)を通して目的とする楽器の音に近づけます。
基本的にこのオペレータの数が多ければ多いほど、豊かな音を再現する事ができ、同時発音数が多いほど複数の和音を作り出すことができます。
サウンドブラスター系統の音源には2オペレータのOPL音源、86ボード等には4オペレータのOPN音源が内蔵
されています。
ちなみにADPCM機能を持つOPN音源をOPNA音源と呼びます。
正確には86ボードはOPNA音源なのですが、ADPCM用メモリを持たない為、OPNとして解説しています。
サウンドブラスターの場合、基本的にOPL12和音〜24和音(種類により変動)再生でき、86ボードはOPN6和音の再生が可能となっています。
このほかにもPSG(SSG)音源と呼ばれる音源があります。
86ボード(YM2608チップ)にはPSGが3音装備されています。
オペレータの合成によって最終的に完成した波形を業界用語でファイナルスペクトラムと呼びますが、直接音源チップに数字を与えてこのファイナルスペクトラムをソフト的に合成する事ができる音源をさします。
音的にはOPNほど綺麗ではありませんが、PCMに近い使いかたができるので、演奏できる曲目の幅がひろがります。
FM音源でのエミュレーションMICIとは、こういった音源にあらかじめ楽器毎のスペクトラムデータを与えておき、アプリケーションはMIDI機器を制御する場合と同じ音程、音量、長さ等のデータを与えてやるだけで演奏可能としたシステムを指します。
最も、本来シンセサイザを制御して演奏するのがMIDIの為、かけ離れて貧粗な音となりますが、パソコンらしくて味があると、好んで使用しているユーザーも少なくありません。
リテールPC(アプティバやVaio等)の多くの機体に標準で搭載されているMIDIは、このFM音源でのエミュレーションMIDIです。

ソフトウェアでのエミュレーションMIDI
Waveしか持たない機種に一切ハードウェアを追加することなくMIDI演奏機能を追加する目的で考案されたしくみです。
あらかじめ様々な楽器の音をPCMデータとして録音しておき、それをソフトウェア的に変調し、合成し、PCMファイル形式とすることで各種Waveデバイスでの再生を実現したものです。
ソフトウェアエミュレーションMIDIは楽譜データの解読結果から必要な楽器の音量子を選択、変調、合成し、曲ファイルを生成すると同時にWaveデバイスを利用して再生します。
言葉で、その理論を解説するのは簡単ですが、これは非常にCPUパワーを必要とする大変な作業です。
もちろんソフトウェアMIDI再生中に他のタスクを動かそうものなら、使い物にならない事請け合いなくらいです。
音的には、FM音源との比較で素晴らしいものもありますが、特に音楽にしか利用しない人以外には絶対にお勧めできない方式です。

ソフトウェアエミュレーションのMIDIを内蔵したハードウェアMIDI
これは楽譜データの解読、量子の変調、合成部分をハードウェアで行う事ができるものを指します。外付けMIDI音源の、特に小型のものに多いようです。
シンセサイザを内蔵したMIDI音源と比較すると、音質のレベルは否めませんが、完全なソフトウェアエミュレーションのMIDI再生と比較すると圧倒的にCPUにかかる負荷が少ないので、ソフトウェアMIDIを利用するくらいなら、こちらをお勧めしておきます。
ソフトウェアエミュレーションでMIDI再生を行うぶん、価格も割安です。

完全なMIDI対応シンセサイザ
ハードウェアシンセサイザを内蔵した音源です。
通常MPUと呼ばれるMIDIインターフェイスで接続して使用するのが一般的ですが、RS232CやUSB接続タイプのものもあります。
音のクオリティはあらゆるMIDIデバイスの中で最高級品
です。
もちろんパソコン本体から受け取る信号も楽譜データのみなので、極めて小さく、転送速度の遅いシリアル接続でも快適な再生が可能です。
つまりはCPUにかかる負荷も軽いので、他の処理を占有しなくなります。
最も理想的な環境ですが、値段も一級品
なのでお金に余裕があれば購入してみるのもいいかもしれません。
お勧めのMIDIシンセサイザはローランド社(Roland)のSCシリーズです。
となりのトトロや風の谷のナウシカ等で有名な音楽家 久石嬢氏も、ローランドのGS音源を使用して映画音楽等を作られているようです。
また、インターネット上に流れている曲の多くや、MIDI対応ゲームソフトの多くは主にRolandのGS規格(音色の配列を取りまとめた規格)を推奨しています。
YAMAHAの提唱した国際MIDI規格のGMやXGに対応する音源もありますが、基本的な配列はほとんど同じなので、GS対応音源であればGM対応シンセサイザで製作された曲を、同等か、それ以上のクオリティで再生する事ができるようです。またMIDIにも同時発音数(チャンネル)という概念があります。
Windowsが標準でサポートしているのは16音なので、これを満たすGS音源なら問題なく使用できると思います。
SC-55シリーズ、SC-88シリーズ、CM-300、CM-500などがそれです。一世代前のLA音源(CM64等)はGMとの互換性が薄いため、特に必要ではない限り使用しないほうが無難でしょう。
  
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